公開日2025.12.03
トヨタEV車の充電方法は?充電時間や料金の目安もご紹介
EV車の購入を検討している場合、気になるのはバッテリーの充電にどれくらい時間がかかるのか、料金はいくらなのかというポイントではないでしょうか。EV車の充電はガソリン車の給油とは感覚が異なりますが、特徴をしっかり押さえておくことで快適なEVライフを送れるようになります。
今回は、トヨタのEV車を例に、充電時間や充電料金の目安について解説します。
EVにはどんな種類がある?
EV(電気自動車)にはいくつかの種類があり、種類によって充電方法や走行方法が異なります。ここでは、主なEVの種類とその特徴について紹介します。
BEV
BEV(Battery Electric Vehicle:バッテリー電気自動車)は、ガソリンエンジンを持たずにバッテリーの電力だけで走行する完全電気自動車を指します。排気ガスを出さずに走れるため、保有時の環境負荷が非常に低く、静かで滑らかな走行感が特徴です。また、モーター駆動ならではの瞬時の加速性能も魅力の一つです。航続距離はバッテリー容量に左右されるため、長距離走行では充電計画が重要になります。
PHEV
PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle:プラグインハイブリッド)は、電気とガソリンの両方を使って走るハイブリッド車です。日常の通勤や近距離の移動では電気のみで走行でき、バッテリーがなくなった場合にはガソリンエンジンに切り替わるため、長距離ドライブでも安心です。環境性能と利便性を両立できるのが大きな特徴で、電気走行時の静かな走行やスムーズな加速も楽しめます。
HEV
HEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド車)は、ガソリンエンジンとモーターを組み合わせて走るハイブリッド車で、外部からの充電ではなくガソリン給油を行います。HEVでは、走行中に発生するエネルギーをバッテリーに蓄えることで、燃費を大幅に向上させています。電気だけでの走行距離は限られますが、ガソリンとの組み合わせによって燃費性能が高く、長距離走行でも給油回数を抑えられる点が魅力です。
FCEV
FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle:燃料電池車)は、水素を燃料として電気を作り、モーターで走行する電気自動車です。走行中に排出されるのは水だけで、非常にクリーンな車として注目されています。水素を補給することで走行できるため、バッテリーの充電を必要とせず、長距離走行でも短時間で燃料補給が可能です。
EV車の充電方法
いくつかあるEV車の中でも、走行のために充電を必要とするのはBEVとPHEVです。
充電の方法には主に「普通充電」と「急速充電」の2つがあります。それぞれの特徴やメリットを知ることで、日常の利用や長距離ドライブの計画が立てやすくなります。
普通充電
普通充電は、自宅のコンセントや家庭用の専用充電器を使って行う充電方法です。充電速度は急速充電に比べるとゆっくりですが、その分バッテリーにかかる負担が少なく、バッテリー寿命を延ばすことができます。夜間や仕事中など、車を使わない時間に充電できるため、日常の通勤や買い物の範囲であれば十分な電力を確保できます。
普通充電の充電時間目安
普通充電では、3〜6kWで充電が行われます。満充電にするためには、数時間から約1日かかる場合もあるため、基本的には自宅で夜間に充電することになります。
トヨタのBEVである「bZ4X」であれば、バッテリーの総電力量が71.4kWhのため、200V 3kW(16A)の条件で、駆動用電池の温度が約25℃のときに充電すると、バッテリー残量10%から100%まで充電するのにかかる時間は約23時間です。実際には0%になるまで放置することはないことから、もっと早く充電が完了するほか、6kWの充電ではさらに早くなります。
普通充電の料金目安
普通充電を自宅で行う場合、充電料金の目安は主に電気料金単価と充電時間で決まります。
例えば、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している、2025年11月時点の目安単価「31円/kWh」とすると、bZ4Xのバッテリー71.4kWhを全て充電した場合、約2,213円となります。
急速充電
急速充電は、専用の高出力充電器を利用して、短時間でバッテリーを満たせる充電方法です。充電にかかる時間は普通充電よりも遥かに速く、遠出や旅行の際にも便利です。急速充電は公共の充電スポットや高速道路のサービスエリアなどで利用できるため、計画的に充電すれば、日常だけでなく長距離ドライブにも対応可能です。ただし、短時間で多くの電力を供給するため、バッテリーへの負荷がやや大きくなります。
急速充電の充電時間目安
急速充電の場合は50〜150kWの高出力の充電を行えるため、普通充電と比べて高速で充電が完了します。
50kW(125A)の条件でbZ4Xを満充電量の10%から80%までにする場合、充電時間は約60分となります。なお、多くの充電スタンドは充電時間を30分などに制限しているため、それも見越した上で計画的に充電すると良いでしょう。
急速充電の料金目安
急速充電を利用する際は、充電カードを利用することでお得なプランにて充電が可能となります。例えば、「EV・PHV充電サポートメンバーズカード」に入会した場合のプランと料金は以下のとおりです。
| プラン名 | 基本料金 | 従量料金 | |
| 急速充電 | 普通充電 | ||
| 急速・普通充電プランA | 1,650円/月 | 66円/分 | 4.95円/分 |
| 急速・普通充電プランB | 4,950円/月 | 55円/分 | 4.95円/分 |
| 普通充電プラン | 770円/月 | - | 4.95円/分 |
※料金は全て税込
急速・普通充電プランAに加入して、仮にbZ4Xを60分間充電した場合、従量料金は3,960円となります。普通充電の目安である約2,213円と比べて割高となるため、基本的には自宅で普通充電を利用し、遠出するときに適宜急速充電を利用すると良いでしょう。
トヨタでは、2025年10月に新充電サービス「TEEMO(ティーモ)」の提供を開始しました。TEEMOは、BEVとPHEVを対象とした充電サービスで、会員登録を行うことで月額基本料金 “0円” の従量課金制で利用できます。
2025年10⽉9⽇以降発売のトヨタBEV・PHEVをご購⼊の⽅は「TEEMO会員」、2025年10⽉9⽇以前に発売されたトヨタBEV・PHEVをご購⼊の⽅は「TEEMO Lite会員」となります。
TEEMOを利用した場合の料金は以下のとおりです。
| 会員 | 充電器 | 充電出力 | 従量料金 |
| TEEMO会員 | TEEMO | 50kW以下 | 40円/分 |
| 50kW超~150kW未満 | 60円/分 | ||
| 150kW以上 | 80円/分 | ||
| e-Mobility Power | 普通 | 4円/分 | |
| 急速 | 80円/分 | ||
| TEEMO Lite会員 | TEEMO | 50kW以下 | 50円/分 |
| 50kW超~150kW未満 | 75円/分 | ||
| 150kW以上 | 100円/分 |
※対象充電器は、トヨタ・レクサス販売店、e-Mobility Power 提携の充電器(2025年10月時点)
50kWの充電器で90分間充電した場合、従来のEV充電プランでは基本料金1,650円に加え、従量料金66円/分×90分で5,940円がかかり、合計で7,590円となります。
一方、TEEMOを利用した場合、従量料金は40円/分×90分の3,600円のみで、月額基本料金は0円のため、合計は3,600円です(2025年10月9日時点のTEEMOの料金単価で試算)。同じ条件で比較すると、TEEMOを使うことで従来プランより約4,000円お得になります。
EVの充電について知っておきたいポイント
EV車の購入を検討する際は、充電にまつわる以下のポイントも押さえておくと良いでしょう。
EV車の主な充電スポット
EV車を快適に使うには、充電できる場所をあらかじめ知っておくことが大切です。カーディーラーには充電スポットが設置されていることが多く、普通充電が中心ですが、一部では急速充電にも対応しています。
商業施設や大型ショッピングモールの駐車場に充電スタンドが設置されていることもあり、買い物や食事の間に電力を補充できます。道の駅や高速道路のサービスエリア・パーキングエリアには急速充電器が比較的多く設置されており、長距離移動の中継地点として便利です。さらに、ホテルや旅館などでは宿泊中に普通充電ができる場合があり、翌日も満充電で出発できます。
充電スポットの場所は、車載ナビだけでなく、Webサイトやスマホアプリで最新情報を確認しておくと安心です。
充電時間を短くするには
EV車の充電時間を短くするには、まず充電器の出力を上げることが有効です。家庭用の普通充電器は3kWが一般的ですが、6kWの充電器を使うことで充電時間を短縮でき、夜間遅くに充電を始めても朝までに満充電が可能です。ただし、車種によっては6kWに対応していない場合があるため、事前に確認が必要です。
また、出先の情報をできるだけ調べておき、こまめに充電しておくことも充電の効率を高めるために大切です。
夏と冬で充電性能に違いがある
EV車に使用しているバッテリーは、周囲の気温によってパフォーマンスが変化します。具体的には、寒い季節には充電速度が遅くなり、走行中の電力消費が速くなる傾向にあります。
夏場と同じ感覚でEV車を使用していると、思わぬところでバッテリー切れを起こす可能性があるため、冬場は特に計画的な充電が必要となります。
まとめ
EV車の中でも、バッテリーのみで駆動するBEVと、主にバッテリーを使いガソリンでの走行も可能なPHEVでは、日々の運転のためにバッテリーの充電が必要となります。普段は車を使用しない夜間などに料金・バッテリー負荷の低い普通充電を行い、遠出するときは目的地や道中にある充電スタンドで必要な補給を行うことで、バッテリー切れを心配せず快適なEVライフを送れるようになるでしょう。

