公開日2025.8.31
EVとは?種類・メリット・注意点・利用シーンについて

ガソリンを使わず電気の力で走る車をEV(Electric Vehicle)と呼び、現在はこの呼び名も広く浸透してきました。政府が2035年までに新車販売で電動車100%の実現を目標として掲げていることもあり、今後はEVの選択肢が増えていくでしょう。
この記事では、EVの基礎知識から種類、メリット、購入前に知っておきたい注意点まで詳しく解説します。
EV(電気自動車)とはどんな車?

EV(Electric Vehicle)は、電気でモーターを回して走る自動車の総称です。一般的に「充電して走る車(BEV)」を指すことが多いですが、燃料電池車(FCEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)、ハイブリッド(HEV)など、“電気で走る機能”を持つ車の広い概念としても使われます。
EVは走行時に原則CO2を排出しないことから、環境負荷が少ない車として今後はガソリン車からEVへのシフトが加速すると思われています。政府は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」にて、「乗用車は、2035年までに、新車販売で電動車100%を実現」を目標として掲げています。
EVの種類

EVの中にもいくつか種類があります。それぞれの特徴をまとめたので、購入検討時の参考にしてください。
EVの種類 | 動力源 | 主な特徴 |
電気自動車(BEV) | 電気 | 電力のみを使用して走行。 充電スタンドにて電力を確保。 |
ハイブリッド(HEV) | ガソリンと電気 | ガソリンと電力の両方を使用して走行。 ガソリンスタンドにて給油、電力は車内で発電。 |
プラグインハイブリッド(PHEV) | ガソリンと電気 | ガソリンと電力の両方を使用して走行。 充電スタンド、ガソリンスタンド両方を使用。 |
燃料電池車(FCEV) | 水素 | 水素を燃料として車内で発電し、走行。 水素ステーションにて補給。 |
BEV
BEV(バッテリー式電気自動車)は、ガソリンをまったく使わず、電気だけで走るEVです。エンジンの代わりに大きなバッテリーとモーターを積んでいて、そのバッテリーに貯めた電気でモーターを回して走ります。走行中は二酸化炭素や排気ガスを一切出さないので、環境に優しい車とされています。また、モーターで動くため音が静かで、発進した瞬間からスムーズに力強く加速するドライブフィーリングも楽しめます。
BEVの充電は、自宅に設置した専用の充電装置や、街中の充電スタンドで行います。自宅に充電設備があれば、毎朝フル充電の状態で出発できるのも魅力です。
ただし、BEVはバッテリーの残量がゼロになると走れなくなるため、特に長距離ドライブでは事前に経路や目的地付近の充電スポットを調べておく必要があります。今後増えていくと期待できますが、ガソリンスタンドの数に比べて、充電スタンドの数はまだ足りていないのが現状です。
HEV
HEV(ハイブリッドEV)は、ガソリンエンジンと電動モーターの両方を動力として使う車です。ガソリン車と同じように給油だけで走ることができ、外部で充電する必要はありません。走行中にエンジンやブレーキで発生したエネルギーをバッテリーに貯めてモーターを動かすため、燃費が良く、CO2の排出量も抑えられます。また、発進や加速のときにモーターがエンジンをサポートし、一定の速度ではエンジンだけで走るなど、効率良くエネルギーを使える仕組みとなっています。
一方、上記にてご紹介したBEVはガソリンを使わず、電気だけでモーターを回して走ります。簡単に比較すると、HEVは「ガソリン車に近い感覚で乗れる燃費の良い車」、BEVは「電気だけで走る、純粋なEV」という違いがあります。日常の移動範囲で充電環境が整っていない場合や長距離移動が多い場合は、HEVのほうが安心です。一方で、自宅や勤務先で充電でき、日常的に1回の走行距離が比較的短ければ、BEVのほうが電気代や環境性能の面で有利になります。
PHEV
PHEV(プラグインハイブリッドEV)は、HEVと同じくガソリンエンジンと電動モーターの両方を搭載していますが、外部の電源からバッテリーを充電できるのが大きな特徴です。このため、日常の近距離走行では電気だけで走る「EVモード」を中心に使うことができ、環境にもお財布にも優しい運転が可能です。バッテリーの電力が不足した場合は自動的にガソリンエンジンを使う「HEVモード」に切り替わるため、長距離移動でも充電切れの心配なく走行できます。
HEVとの違いは、HEVが走行中にエンジンや減速時のエネルギーでバッテリーを充電するのに対し、PHEVは自宅や公共の充電スタンドからも充電できます。そのため、PHEVはEVとして走れる距離がHEVよりも長くなっています。
PHEVは、短距離移動が多い場合はほぼEVとして走らせることで燃料費を抑えつつ、週末の遠出などではガソリンエンジンに頼れるので、ライフスタイルに合わせた柔軟な使い方が可能です。
FCEV
FCEV(燃料電池EV)は、水素を燃料として搭載した燃料電池で発電し、その電気でモーターを回して走る電気自動車です。ガソリンやディーゼルを使わず、走行中に出るのは水だけなので、CO2をまったく排出せず、環境に優しい車とされています。電動モーターで走るため、発進や加速は静かでスムーズです。
BEVやPHEVと比べると、FCEVの利点は充電時間の短さにあります。充電スタンドを使用するBEVやPHEVは充電に数十分を必要としますが(外出先での急速充電)、FCEVは水素のタンク補充が3分程度で完了するため、ガソリン車とほぼ同じ感覚で走行を再開できます。また、航続距離もBEVより長めで、長距離移動でも安心して利用できる点が魅力です。
一方で、FCEVには課題もあります。まず、水素ステーションの数が限られているため、充電の場所を計画的に確認する必要があります。また、FCEVは車両価格が高く、同クラスのガソリン車やHEVに比べて購入費用が高くなります。
EVのメリット

ガソリン車ではなくEVを選択するメリットには、以下のようなものがあります。
燃費が優れている
上記にてご紹介したさまざまなタイプのEVは、どれも燃費が良いという特徴があります。車種やエンジン性能、バッテリー性能によっても変わるものの、ガソリン車と比べて燃費が優れていることが多いため、燃費を抑えて車に乗りたい場合には強力な選択肢となります。
スムーズな加速力がある
EVはモーターによる加速を行うことから、ガソリン車と比べて静かでスムーズな加速力があり、アクセルのフィーリングが快適という特徴があります。
補助金が受けられる
年度によっても内容が変わる可能性があるため、現在受けられる内容についてはご自身で調べるか販売店に尋ねる必要がありますが、環境性能の高いEVは購入時に補助金を受け取ることができます。EVは車体価格が高い傾向にあるため、購入検討時には補助金をうまく活用することが大切です。
非常時に電源として使用できる
多くのEVは、非常時には家電や住宅の明かりのための電源として使用することが可能です。特に、外部給電システムを搭載したEVであれば、住宅と接続して災害時に一定時間の電力を供給することができます。
EV購入前に知っておきたい注意点

EV購入を検討する際は、以下の注意点についても押さえておき、メリットとあわせて総合的に判断するようにしましょう。
購入費用が高額になりやすい
EVはまだガソリン車と比べて車体価格が高く、同クラスのモデルを購入しようとすると初期費用が高くなりがちです。一方で、環境性能の高いEVは購入時に補助金を利用できることが多いため、うまく活用することで購入費用を抑えられます。
計画的な充電が必要となる
EVによっては、動力源がマックスの状態での航続距離がガソリン車と比べて短い場合があります。BEVでは十分な航続距離がありますが、PHEVではこまめな充電が必要です。充電スタンドやFCEVに必要な水素ステーションはガソリンスタンドと比べて数が少ないこともあり、自宅での充電や周辺の充電スタンド・水素ステーションの確認など、計画的な充電が必要となります。
まとめ
電気で走る機能を持つEVは、ガソリン車と比べて燃費が良く、環境性能も高いことから選択する人が増えてきています。低燃費や静かな走行、力強い加速感などメリットが多く、特徴の異なるさまざまな種類があるため、ご自身のライフスタイルにあわせて最適なタイプを選択するようにしましょう。