公開日2025.7.31
夏の長距離ドライブを安全に!注意点と事前メンテナンスのポイント

夏の長距離ドライブを楽しむには、普段からの車のメンテナンスに加え、長距離ドライブならではの注意点を押さえ、ドライバー自身の疲労対策などにも気を配ることが大切です。この記事では、夏に長距離ドライブをする前に行っておきたい車のメンテナンス、快適に過ごすための対策を解説します。
トラブルを防止する!夏の長距離ドライブ前にやっておきたいメンテナンス

夏の暑さは、人だけでなく車にとっても大きな負荷となります。特に長距離ドライブを予定している場合は、トラブルを未然に防ぐための事前メンテナンスが重要です。ここでは、夏によくある4つのトラブルと、それぞれのリスク・原因・対策について紹介します。
バッテリーの確認
バッテリー上がりは常に気をつけたい車のトラブルですが、夏は特に注意が必要な季節です。夏は高温によってバッテリー液が蒸発しやすくなり、バッテリー性能が低下しやすくなっています。さらに、エアコンやナビ、スマートフォンの充電など電装品の使用頻度が増えることで、長距離ドライブでは負荷がかかりやすくなります。出先でエンジンがかからなくなると、予定が大きく狂ってしまうだけでなく、場所によっては大きな危険にもつながります。
自分でできる対策としては、バッテリーのインジケーターで状態を確認したり、エアコンなどの電装品を必要以上に使わないことが挙げられます。また、長く車に乗っていない場合は、出発前に一度エンジンをかけて走らせておくことも効果的です。多くの車はフロントボンネットの中にバッテリーがあるため、自身で状態を確認し、知識があればバッテリー液やバッテリーを交換することもできます。
もしくは、ディーラーやガソリンスタンドなどでバッテリーを購入し、交換してもらうことも可能です。
オーバーヒート対策
オーバーヒートは、エンジンが過剰に熱くなり、走行不能になってしまう深刻なトラブルです。原因としては、冷却水(クーラント)の不足や劣化、ラジエーターの詰まり、冷却ファンの故障などが考えられます。夏は気温が高くなることから、オーバーヒートの危険性も増しています。オーバーヒートを起こすと、車が走行できなくなるだけでなく、エンジンルームから発火することもあります。
ドライバー自身でもエンジンオイルやクーラントの量のチェックは可能です。また、運転中に水温計が高温を示したら、すぐに安全な場所に停車し、ボンネットを開けて冷やすことが大切です。
実際のメンテナンスは、プロの整備士に依頼するのがおすすめです。冷却系統全体の点検や、ラジエーターキャップの圧力チェック、クーラントの交換などを依頼できます。
タイヤの空気圧、劣化具合を確認
夏の路面温度は非常に高く、タイヤ内部の空気が膨張しやすいため、空気圧の変化が起きやすくなります。これに気づかず長距離を走行すると、タイヤのバーストやパンクのリスクが高まります。また、タイヤ自体の劣化や摩耗も進行していることがあり、走行中の安全性に大きく影響します。夏の高速道路におけるトラブルでは、タイヤによるものが非常に多くなっています。
自分でできる点検としては、出発前に空気圧をチェックすること、溝の深さやひび割れの有無を確認することが挙げられます。タイヤの適正空気圧は、運転席のドア付近にある表示シールで確認できます。また、空気圧はガソリンスタンドにて無料で確認してもらえるため、定期的にチェックしておくのもおすすめです。
ディーラーやガソリンスタンドなどにて、空気圧の調整に加え、偏った摩耗やアライメントのズレなどもまとめて点検してもらうこともできます。万が一タイヤのバースト・パンクが起きたときに備え、スペアタイヤ・ジャッキ・修理キットについても確認しておくのがおすすめです。
エアコン機能の確認
夏のドライブで欠かせないのがエアコンですが、冷えが悪いと室内の温度が上がり、快適さを損なうだけでなく、熱中症のリスクもあります。原因としては、冷媒ガスの漏れや不足、エアコンフィルターの詰まり、コンプレッサーの不具合などが考えられます。
エアコン使用時の風量や臭いを確認することで、エアコン機能の低下具合をある程度測れます。エアコンの効きが明らかに悪いと感じる場合は、整備工場やカー用品店などでエアコンフィルターの清掃・交換、パーツの交換などを行う必要があります。また、エアコンのフィルター交換時期は1年間が目安の1つとされているため、夏の前に交換する習慣をつけておくのもおすすめです。
夏の長距離ドライブではドライバー・乗員のケアも重要

安全かつ快適な長距離ドライブのためには、適切な車のメンテナンスが欠かせませんが、ドライバー・乗員の暑さ対策も重要です。熱中症のリスクを避けるためにも、以下のポイントをぜひ参考にしてください。
車内の温度を素早く下げるには?
屋外に駐車していると、夏の暑さで車内の温度が非常に高くなります。不快感を軽減するだけでなく、熱中症のリスクを避けるためにも、車内の温度を素早く下げることが大切です。
温度を下げる方法はいくつかありますが、JAFの検証によると、「最初は外気導入にした上でエアコンを点け、窓を全開にしてこもった熱気を外に出す」「熱気がなくなってきたら窓を閉め、内気循環に切り替える」という2ステップにより最も素早く温度が下がるとしています。
また、長距離ドライブの出先で短時間駐車する際にはサンシェードが非常に効果的です。フロントガラスはもちろん、ドアガラスにもサンシェードを付けておくことで車内の温度上昇を抑えることができます。
隠れ脱水症に要注意
エアコンや便利グッズなどで車内を快適にしていても、「隠れ脱水症」により突然体調が悪くなることもあります。
隠れ脱水症とは、車のあちこちから輻射熱を受けることによる水分消費、エアコンによる空気の乾燥、水分の摂り忘れなどによる脱水症で、車内が快適であるがゆえに気づきにくいという特徴があります。この状態が続くと、突然のめまいや頭痛、倦怠感、集中力の低下などの症状が現れ、長時間の運転では大変危険です。特に夏場の長距離ドライブでは、体内の水分とともに塩分も失われるため、ただの水分補給だけでなく塩分補給も忘れずに行うことが重要です。
こまめに水分やスポーツドリンクを摂る他、適度な休憩を取り体を動かすことも脱水症状の予防につながります。もし体調に異変を感じたら、無理をせずに休憩を増やし、体を冷やすなどの対策を取りましょう。
快適さの裏に潜むリスクを理解し、適切な対策を行うことが、安全で快適な夏の長距離ドライブを実現するために大切です。
まとめ
夏は家族や友人と長距離ドライブを楽しむ絶好の季節ですが、高温による車両トラブルや熱中症などのリスクも高まります。快適で安全なドライブのためには、事前の車両点検と適切なメンテナンスが欠かせません。特にバッテリーや冷却系統、タイヤの状態、エアコン機能はしっかりと確認しておきましょう。
また、ドライバーや乗員の体調管理も重要です。車内の温度管理やこまめな水分・塩分補給、適度な休憩を意識することで、疲労や熱中症を防ぎ、最後まで安全に運転を続けることができます。本記事を参考に十分な対策を行い、安全に長距離ドライブを楽しんでください。