公開日2025.3.10
事故車はどう修理する?費用の相場や修理期間、受け取れる保険金も解説

通勤時やお出かけの際に、事故を起こしてしまう可能性は誰にでもあります。事故を起こすと車が故障し、修理が必要になることもあるでしょう。
そこで今回は、事故車の修理費用の相場や修理期間、修理の流れ、受け取れる保険金などについてご紹介します。今回は、人身事故はなく、物損事故のみ発生したと仮定し、車の修理にフォーカスして解説します。
事故を起こした直後はどうすればいい?

もし事故を起こした場合は、心を平静に保ち、現場にて必要な処理を行う必要があります。事前に必要な処理を把握しておき、事故現場で焦らないようにしましょう。
なお、本記事では人身事故を想定していませんが、人を巻き込む事故が起こった場合は相手の保護と救急車への通報を最優先に行います。
警察への通報と事故処理を行う
まずは警察への通報を行います。軽い接触事故でも、警察を呼ばないと後々トラブルになることがある他、道路交通法違反に問われる場合もあります。
警察が到着したら、以下の内容を伝えます。
・事故が起こった場所
・事故の状況(どこにぶつかったか、けが人はいるか、何が壊れたか)
・自分と相手の情報(免許証や車検証で確認)
警察が作成する「事故証明書」は、保険請求や修理手続きに必要なので、必ず発行してもらいましょう。
事故現場でやっておくこと
事故現場では、後でトラブルにならないように、証拠を残しておくことが大切です。
・写真を撮る(車の損傷、道路状況、相手の車のナンバーなど)
・相手の情報をメモする(氏名、連絡先、車両情報、保険会社)
・目撃者がいたら証言をもらう(可能なら連絡先も聞く)
なお、状況的に難しければ、無理に行う必要はありません。最低限の情報を撮影しておき、トラブルを避けるため、後は警察に任せたほうがいいケースも多くあります。
保険会社への連絡
事故の対応が落ち着いたら、加入している保険会社・保険代理店担当者に連絡しましょう。その際には以下のポイントを伝えます。
・事故の発生時刻、場所
・事故の相手の情報
・車の損傷状況
・警察の対応内容
上記の情報を伝えることで、保険会社が修理費用の見積もりや保険金の支払いについて案内してくれます。また、事故の程度から修理の流れについて教えてもらうこともできます。
ロードサービスの利用の検討
もし車が自走できない場合は、JAFや保険会社のロードサービスを利用して、修理工場までレッカー移動してもらいましょう。保険によっては、無料で対応してもらえることもあります。
また、JAFのロードサービスは非常に手厚いため、あらかじめ会員になっておくのもおすすめです。
事故車を修理するまでの流れ

事故現場でやるべきことが終わったら、いよいよ車の修理を行います。
修理工場へ持ち込む
修理は、次のような場所で行えます。
・保険会社提携の修理工場
・ディーラー(メーカー正規販売店の修理工場)
・町の修理工場(板金屋)
修理費用や品質を考え、自分に合った工場を選びましょう。基本的には保険会社・保険代理店の担当者に相談し、最適な工場を案内してもらうと安心です。保険利用を想定している場合は、ディーラーで純正パーツを使用し事故前の状態に修復することがおすすめです。
見積もりをもらって確認する
修理前には必ず見積もりを取り、どのくらいの費用がかかるか確認します。保険ですべての修理費用をカバーできる場合もありますが、自費を持ち出さなければいけない場合もあります。
修理内容と費用に納得すれば、修理を実施してもらいます。故障の程度が軽微であれば、修理しないという選択肢もあります。全損や、全損に近い故障だった場合は、保険料を用いて買い替えも検討することになります。
事故車の修理内容ごとの修理期間の目安

事故のダメージはさまざまですが、主に「軽度」「中度」「重度」の3段階に分けられます。
軽度の修理:数日
軽度の修理には、例えば以下のようなケースがあります。
駐車場でポールに軽くぶつけてバンパーに傷がついた
このような場合は、バンパーの塗装補修や軽い板金修理で済みます。工場に持ち込んで修理すれば、数日以内に完了することがほとんどですが、傷の範囲によってはもう少しかかることもあります。
バック時にガードレールに擦り、ドアに小さな凹みができた
ドアの凹みを直すには、「デントリペア(凹み修理)」や「パテ埋め・塗装」などを行います。これも数日で修理可能です。
中度の修理:1~2週間
中度の修理には、以下のようなケースがあります。
交差点で接触事故を起こし、フェンダーが凹んでしまった
フェンダー(前輪・後輪の上の部分)が大きく凹んだ場合、交換が必要になることが多いでしょう。修理には1週間前後かかることが一般的です。
前方の車に追突し、ヘッドライトとフロントバンパーが破損
ヘッドライトやバンパーが割れてしまった場合、修理ではなく新品パーツへの交換が必要になることがほとんどです。修理なら数日程度ですが、部品を取り寄せる場合はさらにかかることがあります。センサー類やラジエーターなどが故障した場合は重度の修理となり数週間かかる場合もあります。
重度の修理:1ヶ月~
重度の修理には、以下のようなケースがあります。
高速道路での事故でフロント部分が大破し、エンジンルームまで損傷
フロント部分の大きな損傷は、フレームの修正やエンジンの修理が必要になるケースが多く、フレームが歪んでしまうと、事故後にハンドルが真っ直ぐにならないこともあり、精密な修正作業が必要です。修理期間は1ヶ月以上かかると考えたほうがよいでしょう。
交差点での衝突事故により、車の後部が大きく損傷しドアが開かない
後部が大きく損傷すると、ドアやトランクの交換だけでなく、フレーム自体を修正する作業が発生します。修理期間も1ヶ月以上が必要です。
もし修理費用が高額になった場合、買い替えを検討するのも一つの選択肢です。特に、修理費用が車の時価を超える場合は「全損扱い」となり、保険会社から車の時価相当額が支払われることがあります。
修理費用は保険でどのくらいカバーできる?
事故による車の修理費用は、できれば保険でカバーしたいところですが、実際のところどの程度まで保険で支払えるのでしょうか。
車両保険の適用条件と自己負担
修理費用は基本的に、車両保険を使ってカバーできます。
ただし、保険には「免責額(自己負担額)」が設定されているため、全額が補償されるとは限りません。保険で補償できる範囲や金額は、契約内容によって変わります。
過失割合による支払いの違い
事故による車の損傷の場合、過失割合によって保険がカバーできる範囲が変わることがあります。例えば、事故の責任が「自分:相手=3:7」だった場合、修理費用のうち3割は自己負担になる可能性があります。
修理せず買い替えを選ぶケース(全損)
修理費用が車の時価を超える場合、「全損扱い」 となり、保険会社から時価相当額の保険金が支払われることがあります。
修理完了後の注意点
無事修理が完了した後にもいくつかの影響があるため、以下ポイントについて事前に把握しておきましょう。
保険料の上昇
事故による故障の修理費用を保険でまかなうと、翌年から保険の等級が下がり、保険料が上がる可能性があります。修理費用が安く済む場合は、上がってしまう保険料と比較し、保険を使用しない選択肢もあります。
事故歴が査定に与える影響
修理が完了して問題なく走り、見た目が元に戻っても、車の査定では「事故歴あり」となり、買取価格が下がることがあります。特に、フレームに損傷があった場合は、大幅に価値が下がることがあります。
まとめ
万が一事故を起こしてしまった場合に備え、以下ポイントを頭に入れておき、適切な現場処理と修理を行うようにしましょう。
・人身事故があった場合は相手の保護と救急車の要請
・事故後はすぐに警察・保険会社へ連絡
・修理は工場を選び、見積もりを取る
・修理費用は保険でカバーできるが、自己負担額に注意
・事故後の保険の等級も考慮して判断